更新日時:2025.2.13
2) 連続モニタリングができないとHACCPはできない
これも「HACCP対応設備」の延長上の話ですが、温度測定やpH測定などをCCPにする場合、「CCPは連続モニタリングできなければならない」という表現も耳にします。このフレーズは、著者が令和の時代にも聞いているので、割と最近でも出回っているフレーズかもしれません。
言うまでもなく、CCPは不連続のモニタリングでも構いません。温度測定がCCPの場合、温度計で適切な頻度で測定しても構いません。ただ、その場合、「頻度」を考慮しなければなりません。測定対象の温度の変動の仕方や、その温度計の精確さ/ブレやすさに応じて、頻繁に測定するか、ある程度の間隔を置いて測るのかを判断すれば十分です。「モニタリングすること」が目的ではありません。あくまでも「食品安全を確保すること」が目的です。 加熱と金属探知機がCCPに設定されることが多いですが、加熱をCCPにする場合、必ずしも何かの温度を測定することだけがモニタリング方法ではありません。
そして、HACCP制度化の範囲では、CCPの管理基準(許容限界、Critical Lilit)は、
・温度や時間、水分含量、pH、水分活性、有効塩素のような測定可能な指標、あるいは
・外観や食感のような官能的指標
のいずれも許容されます(必ずしも数値である必要はありません)。
・少しだけ「記録」に関するお話
当然、自動記録やデジタル記録も必須ではありません。「自動モニタリング」や「自動記録」は、導入した方がメリットは多いです。
しかし、HACC関連の記録とは「自分たちが正しい衛生作業を行ったことを証明するため」と「衛生管理の改善の情報源とするため」につけるものです。HACCPやISOでは、監査や審査の時に「記録がない=作業をしていない」とみなされても、文句はつけられません。そのことを踏まえた上で、「どの記録が必要か?」を考えればよいでしょう。
そして、「記録を付ける」の大きな目的の一つは、記録を見直して、改善活動へのインプットにすることです。記録がなければ、「理由のある改善」「根拠のある改善」はできません。逆にいえば、後から見直さない記録、チェックシートに「〇」か「✓」しか付いていない記録に何の意味があるのでしょう? 1日分の記録用紙に、数個のチェック項目と、全てに〇や✓の記入欄があったとして、何を信頼しろというのでしょう?
記録付けの意味を考えた上で、記録の仕組みを構築するのが理想でしょう。