更新日時:2025.2.12
2020年のコーデックス委員会の総会で、最新の「食品衛生の一般原則」(原題:General Principles of Food Hygiene)の改訂版が採択されました。これが、いわゆる「コーデックスのHACCPガイドライン」と呼ばれるものです。
HACCPだけのガイドラインではありません。一般衛生管理の項目も書かれています。
「食品衛生の一般原則」の主な構成は以下のとおりです。
2020年版の主な改訂ポイントとしては、例えば、
・全体を2部構成に刷新(従来のHACCPガイドラインは「食品衛生の一般原則」の附属文書という位置づけでしたが、改訂版では第1章:GHP、第2章:HACCPという2部構成に変更。GHPとHACCPの関係性の明確化を意識した表現に)
・経営層のコミットメントの強化、経営層の食品安全に対する責任の強化
・食品安全文化(food safety culture)の概念の採用
・定義の一部変更(例えば「食品衛生システム(food hygiene system)」など新しい用語も追加)など)
・アレルゲンマネジメント(アレルゲン管理)の強化
・「より注意を要するGHP」(GHP with greater attention)というOPRPやFSMA(米国食品安全強化法)の予防管理(preventive control)を感じさせる概念の導入
・柔軟なアプローチの強調
・妥当性確認(バリデーション)の位置づけの明確化(原則3のタイトルが「CCPの確立」から「妥当性確認されたCCPの確立」、原則6のタイトルが「検証手順の確立」から「HACCPプランの妥当性確認、および検証手順の確立」に変更されるなど)
などの点が挙げられます。
2020年版のGHPの目次を、2003年版と比較した表を作成しました。目次を比較した印象として、(2020年版への改訂が)日本のHACCP制度化に及ぼす影響はほとんどないと推察されました。実際、そのようにHACCP制度化に関する施策は展開されています。その背景には、コーデックス委員会の会議には、日本からも意見を出していたことが影響しているのでしょう。
次回は「コーデックス委員会のHACCPガイドラインの改訂の変遷」と題して、このコーデックスのHACCPガイドラインの発祥と変遷についてお話します。
食品安全文化やアレルゲン、より注意を要するGHPなどについても、別の回で個別にお話する予定です。