「○○しないとHACCPはできない」―トップのコミットメントは必須

更新日時:2025.2.13

 何か「〇〇」に当てはまるものはないでしょうか?
 
 一つは「経営層のコミットメント」です。HACCPでいう「コミットメント」は適切な訳語が思いつきませんが、「経営層の全面的参画」といった表現をすることがあります。
 
 コーデックスのHACCPガイドラインでは、「HACCPの適用を成功させるには、経営層(management)と要員(personnel)のコミットメントおよび関与、および特定のフードビジネスの種類に対するHACCP適用に関する知識および/またはトレーニングが必要です」「あらゆる種類の食品企業において、効果的なHACCPシステムを実施するには、経営層(マネジメント)の意識とフードビジネスに対するコミットメントが必要です。また、HACCPの効果は、適切なHACCPトレーニングと能力を持っている経営層と要員に依存します。したがって、フードビジネスにとって適切であるならば、管理者(マネジャー)を含むすべてのレベルの要員に対して継続的なトレーニングが必要です」とあります。

 

 また、「食品安全に対する経営層のコミットメント」の項では、「食品衛生システム(=一般衛生管理とHACCPの総称)がうまく機能するための基本は、安全で適切な食品の提供における人間の行動の重要性を認める前向きな食品安全文化の確立と維持管理である」として、前向きな食品安全文化を育む上で、以下の要素が重要であると説いています。
・安全な食品の製造と取り扱いに対する経営層とすべての要員のコミットメント
・正しい方向性を設定し、すべての要員を食品安全規範に関与させるリーダーシップ
・フードビジネスに関連するすべての要員による食品衛生に関する重要性の認識
・逸脱や期待の伝達を含む、フードビジネスにおけるすべての要員間のオープンで明確なコミュニケーション
・食品衛生システムの効果的な機能を保証するための十分なリソースが利用可能であること
 
 リソースとは、人、モノ、お金、情報など多岐にわたるでしょう。HACCPは、いったん導入したら、会社がなくなるまで運用しなければなりません。相応のリソースが必要です。ゆえに、「トップのコミットがなければ、HACCPはできない」と言っても、過言ではないでしょう。
 
 ピラミッドの図を書いて、下層に一般衛生管理、中層にHACCP、頂点にトップのコミットメントを配置するような概念図もあります。その際、丸亀製麺で知られるトリドールグループの「フードセーフティカルチャーマインドマップ」のように、一般衛生管理やHACCPを、ヒトや教育訓練が支えているイメージで表現できれば、より企業の信念が伝わる概念図になるかもしれません(※)。
 
※農林水産省「フードセーフティカルチャーの醸成とめざすもの」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/fcp/whats_fcp/attach/pdf/study_2024-36.pdf